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撮影|中谷利明

ルサンチカ

SO LONG GOODBYE

先日ガラス清掃員と話をしていて、彼は自分の職業を「時代おくれだし、命をかけてやるものではない」と言った。アマゾン配達員も寿司職人も「生活のため」と言っていた。

私の祖母はある事務所の整理をする仕事に就いていて、文句を言いながらも楽しく働いていた。78歳で週6勤務。最低賃金以下の現場だったが、働き、職場で誰かと話し、好きな料理を作って、テレビを見て眠りにつく生活だった。フロイトのいう「仕事は少なくとも、その人に現実の一片と、人間社会おける安定した場所を提供する」が正しいとするなら、彼女は幸せだったのだと思う。しかし去年祖母が階段から転倒して大腿骨を骨折した。救急病院に運ばれたが、祝日のため整形外科医がおらず三日間診断を受けれず、看護師の不適切な対応のため手術中、植物状態になった。病院側は非を認めず、最終的にはカルテも書き換えられていた。彼らはその行為を決断した時どんな気持ちだったのだろうか。医療ミスをした看護師、カルテを書き換えた病院も「仕事は命をかけてやるものでもなく、自分たちの生活のため」だったのだろうか。

これらを経て私は「仕事」について演劇作品を発表しようと思い立った。人間には何千という職業がある。当然そこには人の数だけ感情や経験があるだろう。そこで本企画では「仕事とは、働くこととは何か。日々の糧と同時に日々の意味、現金と同時に人から認められること、つまり死んだままの月曜から金曜日ではなく、何かしらの生き甲斐を求めること」について考えてみようと思う。

公演日時

2020年 2月9日(日)

クレジット

演出・構成|河井朗

ドラマトゥルク|田中愛美 

出演|渡辺綾子

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