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撮影|白井康平

幻灯劇場

盲年

舞台は大阪・八尾。ある誘拐事件に、それぞれ関わりを持ってしまった四人の男女。互いの距離が近づくにつれ「記録」と「記憶」がすれ違い、不可解な事件のすべてが、盲目の少年に繋がっていく。世阿弥の息子・観世元雅の傑作能「弱法師」を下敷きに、現代の「盲目」を描ききる。

公演日時

2019年 2月3日(日)

クレジット

作・演出|藤井颯太郎

出演|村上亮太朗、松本真依、橘カレン、藤井颯太郎

演出助手|今井聖菜

衣裳|杉山沙織 

機材|長井佑樹(ぷっちヨ@Kyoto.lighting)

宣伝美術・写真|松本真依 

広報|橘カレン、石原口大樹 

制作|谷風作 

プロデューサー|小野桃子

インタビュー

−劇団のことを教えてください。

 

藤井  幻灯劇場は俳優以外にも様々な作家がいる集団です。今作「盲年」に出演している松本真依は写真家、橘カレンは映像作家、村上亮太朗はストリートダンサー、僕は言葉を書く人間という一面を持っています。それぞれの領域で活動している作家達が、お互いの領域を侵し、更新しながら作品を作る集団を目指しています。

 

近年、演劇界では作品ごとにユニットを組む事が多いと思うのですが、あえて「劇団」という形で活動されているのは何故ですか?

藤井  元々、幻灯劇場も立ち上げて三年は作品ごとに仲間を変える「半ユニット」のような形で活動していました。劇団化のきっかけは、ダンサー・伊藤郁女との出会いでした。パリを拠点に世界中で活躍をしていた伊藤郁女が偶然僕の作品を観て、森山未來さんとのデュオ作品の脚本を依頼してくれたんです。21歳だった僕にとって刺激的だったのは(二人が類い稀なる才能の持ち主である事は勿論のこと)、生まれて初めてダンサーの言葉に触れたことでした。自分の言葉が踏み入る事ができない領域が存在している事に興奮しました。それから「今まで自分が踏み入れた事の無い領域に踏み込む時、作家としての価値が試される」と考える様になりました。ユニットで作品を作る限り「藤井颯太郎」という作家の領域から自力で出ていく事は非常に難しい。分野は違えど共通言語を持てる仲間を20代前半から作っていくというのが重要だと感じ、集団としての活動を始めました。

 

京都府立文化芸術会館での3年間、どのような3年間にしていきたいですか?

 

藤井  世間一般的に『演劇』があまり観られていないということについて考えていきます。僕の作品は1万人に観て貰えていない。京都府民の方々は255万人もいらっしゃるのに。要するに 255人中1人にも観てもらえていない、悲しくなって来たな。僕の中では、僕の作品はすごい面白いので10人に1人は気に入って貰えると思うんです。でも現段階ではそうじゃ無い。そうなる為には「劇場へ足を運んで頂く為のきっかけ作り」、それから「劇場でしか見ることができない価値ある作品を生み出していく」必要があると思います。小さな集団だけでは、こんな大きなことを成し遂げる事ができるのか不安になりますが、これから三年間、京都府立文化芸術会館という極めて公的な劇場と提携して活動できることを非常に誇らしく思います。だから僕はひとまずこの三年間、1/255人に気に入って貰える演劇を目指します。1/255人に気に入って頂けるくらい、演劇は面白いと思うんです。

 

藤井颯太郎(ふじい そうたろう) 

劇作家・演出家・俳優。

1995年生まれ滋賀県出身。兵庫県立宝塚北高校演劇科在学中「幻灯劇場」を旗揚げ。18歳の時に書いた戯曲『ミルユメコリオ』で第四回せんだい短編戯曲賞を史上最年少受賞。文化庁文化交流事業の一環で大韓民国演劇祭へ招致され『56db』を製作、伊藤郁女×森山未來『Is it worth to save us ?』にシナリオで参加する等、国内外・劇場内外へ作品を発表し続けている。

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