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撮影|脇田友

本作品はスタッズ・ターケル著作による『死について!』を原案に用い演劇作品を制作します。 作中にある「我々が死についてじっくり考え、死に対する恐怖や希望を語るのは身近な誰かが死に瀕している時か、危ないところで死を免れた時ぐらいなものだ」、「人間誰しも自分の理想の死に方で死んで行く権利がある」という言葉を起点に、多種多様の職業、様々な年齢の人々に理想の死に方についてのインタビューを行い、それらをテキストとして扱います。この世で理想の死に方を迎えることができる人はどのくらいいるのでしょうか。

ルサンチカ

PIPE DREAM

公演日時

2019年 2月16日(土)

クレジット

構成・演出|河井朗

ドラマトゥルク|田中愛美

原案「死について!」

作:スタッズ・ターケル

訳:金原端人、野沢佳織、菊地誠子

2003年9月24日出版 原書房

インタビュー

今回の作品を上演しようと思ったきっかけを教えてください

河井  昨年のクリスマスに祖母が階段から転倒して大腿骨を骨折しちゃったんですよね。その後救急病院に運ばれたんですけど、看護師の不適切な対応も重なって、手術中に肺血栓になって植物状態になっちゃったんですよね。拘縮状態っていうんですけど、人って寝たきりだと関節がカチコチになって動かなくなるんです。そんな祖母を見てこれからの生活をどう生きていこうとか、どういう死に方がしたいのかとか、友人とか居たのだろうか、このことを知っている人はいるのだろうかとか僕は全く祖母の生き方について知らないなと思ったんです。それから何ヶ月か経って自分の家の本棚を物色してたらスタッズ・ターケルとイヴ・エンスラーがあって久々に読んでみたら、作中の人物たちが自分の生について吐露しているのがとてもいいなと思ったんです。そっか、人ってこんなに生について話せるのかと思って、僕もインタビューを色々な人に始めたのがきっかけです。

 

なぜ演劇をやっていますか?

河井  人に出会うことが好きなんですね。その人を知るのに、普段の会話ではなかなか深いとこまでは行かれへんな、という感覚があるけど、稽古場での役者とのやり取りや、今回やっているインタビューを通して、より深く対話することができるようになる。こういう契機がないとそういうことってなかなかできない。僕はその人の個人的な話や人柄を知りたいんだと思います。多分それをすることで自分自身をもっと知れる、みたいな。

 それと3年前、ドイツでイプセンの「民衆の敵」を観たことがあって。振興の温泉地に流れ込んだ廃液をめぐって、住民と行政が対立する公害問題を扱う社会派戯曲なんですけど。

上演中に客席の照明が明るくなって、舞台上で繰り広げられた問題について、演者がファシリテーターになって観客にも発言を促していくんですよ。すると待ってましたと言わんばかりに観客も議論に加わって、会場が騒がしくなって帰る客もいたりするわけですよ。もうなんか喋ってる人が客か俳優かわかんなくなっちゃって。しかも劇が終わった後も、ロビーや会場の外で延長戦をしてるんですよね(笑)。うわーこれこそ演劇が持ってる力やなあって、多分、僕もそういうことがしたいんやと思います。

 

京都府立文化芸術会館での3年間、どのような3年間にしていきたいですか?

 

河井  今回の企画、3年間これでいきます。「理想の死に方」についてのインタビューを重ね、それで演劇作品を制作していきます。

この作品を制作するのに、3年必要だと思いました。人にたくさん出会わないとやっていけないよな、と。僕が人に出会い経験値を増やし、気づいた自分自身の変化や、出会った人によって作品が変化していくと思います。だから1年に1回上演できる機会があること、ありがたいですよね。

 

河井朗(かわい ほがら)

1993年大阪生まれ。2016年京都造形芸術大学舞台芸術学科卒業。 個人で演劇作品を発表するカンパニーとしてルサンチカを主宰する。 それ以外での活動は商業演劇、小劇場にて演出助手や共同演出として参加しつつ自身のカンパニーで 東京、京都、大阪を主な場所として活動する。

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